ブラームスのオルガン曲(その2)

(09/09/27)

 もう4年も前に紹介したブラームスのオルガン曲のCD。
 その後こまめに集め、新たに十数枚のCDを入手しております。ただ、なかなかじっくり聴いている時間がないので、とりあえず半分ほどをご紹介いたします。今回は北欧のCDを中心にしました。知らない演奏者ばかりです。オルガン奏者というのは一部の有名な方を除いて日本では全く名前を知られていない人ばかりなので、CDを買って聴いてみるまではどんな演奏するのか全くわからないのが常です。それだけに予期せず良い演奏に当たると本当にうれしくなりますね。
 前回同様おすすめ度の☆印もつけましたが、基準は私の好みだけですので、ご了承ください。また、演奏者の写真があるものはジャケットと一緒に載せました。
 残りはフランス・ドイツ・イギリスのCDとなりますが、ほとんどが未聴なので、またしばらく日をおいてご紹介します。

 ブラームスのオルガン作品は以下のとおりで、各CDともこれらの曲目が収録されています。

  • 前奏曲とフーガ イ短調 (Prälidium und Fuge a-moll 1856)
  • 前奏曲とフーガ ト短調 (Prälidium und Fuge g-moll 1857)
  • フーガ 変イ短調 (Fuge as-moll 1858)
  • コラール前奏曲とフーガ「おお悲しみよ、心の痛みよ」 (Choralvorspiel und Fuge über "O Traurigkeid, o Herzensleid 1858)
  • 11のコラール前奏曲 作品122 (Elf Choralvorspiele op. posth. 122 1896)
    1. わがイエスよ、われを導きたまえ (Mein Jesu, der du mich)
    2. 最愛なるイエスよ (Herzliebster Jesu)
    3. おお世よ、私は汝を去らねばならない (O Welt, ich mußdich lassen)
    4. わが心の切なる喜び (Herzlich tut mich erfreuen)
    5. おお愛する魂よ、汝を飾れ (Schmücke dich, o lieb Seele)
    6. おおいかに幸せになるか、汝ら信仰厚き者よ (O wie selig ihr doch, ihr Frommen)
    7. おお神よ、汝やさしき神よ (O Gott, du frommer Gott)
    8. 一輪の薔薇が咲いて (Es ist ein Ros' entsprungen)
    9. わが心の切なる願い (Herzlich tut mich verlangen)
    10. わが心の切なる願い (Herzlich tut mich verlangen)
    11. おお世よ、私は汝を去らねばならない (O Welt, ich mußdich lassen)


BRAHMS : The Complete Organ Works
  ブラームス オルガン全曲集
演奏者 ジャック=ファン=オールトメルセン
Jacque van Oortmerssen
使用楽器 スウェーデン ファールン クリスティーネ教会
Kristine Chuich, Falun, Sweden
CD番号 BIS-CD-479 (スウェーデン)
 オールトメルセンはオランダのオルニスト。日本のDENONにも録音があるので、比較的名の知れた奏者と思います。
 前奏曲とフーガはさほどでもありませんが、コラールは総じて非常にゆっくりとしたテンポの演奏で、たとえば「わがイエスよ、われを導きたまえ」は5分26秒と、今回紹介するなかでは最速であるノルトストーガの3分38秒より実に2分近く長い演奏です。これは私の感覚ではちょっとゆっくりしすぎと思います。ただ、それでも途中で飽きてしまうような演奏でなく、聴き手をうまく引きつけるところは、さすがベテラン奏者です。

 録音は1990年。ファールンはスウェーデン中部にある銅鉱山でかつて栄えた都市だそうです。
 楽器は17世紀にヨハン=ニコラス=カーマン (Johan Nicolas Cahman) によって建造され、1905〜6年にフランスのロマンティックオルガンの様式に作り替えられ、1980年にマグヌッソン社によって改修されているとのことです。☆☆
BIS-CD-479 BIS-CD-479


BRAHMS : Organ Works
  ブラームス オルガン曲集
演奏者 カーレ=ノルトストーガ
Kåre Nordstoga
使用楽器 ノルウェー オスロカテドラル
Oslo Cathedral, Norway
CD番号 SIMAX PSC 1137 (ノルウェー)
 オールトメルセンとは逆に、総じて早めのテンポでの演奏です。そのためか、非常にきっちりとした演奏なのですが、せっかくの聴かせ所がさらさりと流れていってしまうような感じがあり、ちょっと惜しい。

 録音は1998年、音質は非常に良いです。奏者は1954年生まれで、ノルウェー国立音楽大学で学んだ後、ロンドンでデイヴィッド=サンガーに師事し、現在はオスロカテドラルの首席奏者だとのことです。
 楽器は1998年、ライデ・アンド・ベルク(Ryde & Berg Orglbyggeri)社製。☆☆☆
SIMAX PSC1137 SIMAX PSC1137


BRAHMS : Organ Works
  ブラームス オルガン曲集
演奏者 ソレン=グレールップ=ハンセン
Søren Gleerup Hansen
使用楽器 コペンハーゲン 聖ペテロ教会
Skt. Petri Kirke, København
CD番号 CLASSICO 421 (デンマーク)
 オールトメルセンと同様に、総じて遅めテンポです。そのうえ、オルガンの音色がやや地味で、演奏にもさほどメリハリがないため、聴いていて飽きます。

 録音は2004年、これも音質は良いです。奏者は1967年生まれで、デンマーク王立音楽大学で学んだ後、ハンス=ファジウス、ヴォルフガング=ツェーラー、ミヒャエル=ラドゥレスク、デイヴィッド=サンガー、オリヴィエ=ラトリ等に師事し、現在はコンサート活動を数多く行っているとのことです。また、オルガンのほか、カリヨンの演奏も行っているそうです。
 楽器は1938年、ザウアー(W. Sauer Orgelbau)社製。☆
CLASSCD421 CLASSCD421


BRAHMS : Complete Organ Works
  ブラームス オルガン曲全集
演奏者 カリ=ヴオラ
Kari Vuola
使用楽器 フィンランド ケラヴァ教会
Kerava church, Finnland
CD番号 ALBA ABCD121 (フィンランド)
 今回紹介するCDの中でのベストです。思わず引きつけられてしまう演奏なのです。同じ作品なのに、スケール感が他の演奏とは違ってとても大柄というか、懐が深いというか、なんと表現して良いのやら言葉が見つかりません。楽器はそれほど規模の大きいものではないようなのにもかかわらずです。

 録音は1997年。奏者は、シベリウス音楽院とデンマーク王立音楽院でオルガンを学び、現在は北欧を中心にコンサート活動を行っているとのことです。また、バッハとレーガーのCDがリリースされています。(バッハのCDを聴いてみましたが、これはあまりよくなかった。)
 楽器は1993年、パッシェン=キール(Paschen Kiel Orgelbau)社製。(府中の森芸術劇場のオルガンを造った会社ですね。)☆☆☆☆☆
ABCD121 ABCD121


BRAHMS : Complete Organ Works
  ブラームス オルガン曲全集
演奏者 マレク=クードリツキ
Marek Kudlicki
使用楽器 ポーランド ワルシャワ 聖バルバラ教会
St. Barbara church, Warsaw
CD番号 POLSKE NAGRANIA PNCD626 (ポーランド)
 これも大柄な演奏です。奏者は演奏経験がかなり豊富なようで、その経歴に裏打ちされたしっかりとした音楽作りが覗えます。楽器もかなり規模が大きいものと思われますが、残念ながら解説には楽器の説明がありません。
 前の北欧の4枚は、たとえていえば淡色系な音色なのに対し、このポーランドのオルガンの音色は色彩豊かな印象を持ちました。
 録音は2002年。奏者は、クラクフの音楽院でオルガンを学び、世界各地でコンサート活動を行っているとのことです。また、指揮者やピアノ伴奏などの音楽活動も行っておられるようです。肖像はクードリツキさんのサイトでご覧ください。
 楽器は "Kaminski organ" と記されていますが、詳細は不明。☆☆☆☆
PNCD626


BRAHMS : The Complete Organ Works
  ブラームス オルガン曲全集
演奏者 ロバート=ベイツ
Robert Bates
ルース=エッシャー(ソプラノ)
Roth Escher (Soprano)
使用楽器 アメリカ オレゴン州 ポートランド 聖ロザリオカトリック教会
Holy Rosary church, Portland, Oregon, U.S.A.
CD番号 Pro Organo CD7060 (アメリカ)
 このCDもなかなか良い演奏です。コラール前奏曲は、各曲の前にソプラノがコラールのメロディーを歌ってくれて、それが作品の中にどう織り込まれているのかが理解しやすいよう配慮されています。アルテルナティムみたいなものですね。

 録音は1999年。奏者は、スタンフォード大学で博士号を取得し、同大学のオルガニストをしているそうです。欧米での演奏活動のほか、各地の大学で教育活動も行っており、特に17世紀フランスとスペインのオルガン音楽のスペシャリストだとのことです。コレア=デ=アラウホとダカンのCDがリリースされているようです。
 楽器は1980年、ボンド(Bond Organ builder)社製。☆☆☆
CD7060 CD7060



おまけ

BACH AND THE ROMANTICIST
  バッハとロマン主義
演奏者 ロレンツォ=ギエルミ
Lorenzo Ghielmi
使用楽器 バッハ: イタリア ミラノ 聖シンプリツィアーノ教会 (San Simpliciano, MIlano, Itly)
ブラームス: スイス ヴィンタートゥア教会 (Stadtkirche Winterthour, Swizerland)
CD番号 Winter & Winter 910 114-2(ドイツ)
収録作品 バッハ
  • 前奏曲とフーガ イ短調 (Prälidium und Fuge a-moll BWV543)
  • 来たれ、異教徒の救い主よ (Nun Komm der Heiden Heiland BWV599)
  • 古き年は過ぎ去りぬ (Das alte Jahr Vergangen ist BWV614)
  • 装いせよ、おお、わが魂よ (Schmücke dich,o liebe Seele BWV654)
  • おお,神の小羊,罪なくして (O Lamm Gottes,unschuldig BWV618)
  • 天にましますわれらの父よ (Vater unser im Himmelreich BWV636)
  • イエスよ,わが喜び (Jesu,meine Freude BWV610)
  • 心よりわれこがれ望む (Herzlich tut mich veriangen BWV727)
  • われ汝に呼ばわる,主イエス・キリストよ (Ich ruf zu dir,Herr Jesu Christ BWV639)
  • 人はみな死すべきさだめ (Alle Menschen müssen sterben BWV643)
  • アダムの堕落によりてことごとく腐れたり (Durch Adams Fall ist ganz verderbt BWV637)
  • われら悩みの極みにありて (Wenn wir in höchsten Nöten sein BWV641)

ブラームス
  • 前奏曲とフーガ イ短調 (Prälidium und Fuge a-moll 1856)
  • 11のコラール前奏曲 作品122 (Elf Choralvorspiele op. posth. 122 1896)
 ブラームスとバッハの作品を同じような感じで並べてみようという企画ですね。
並べてみれば確かに違和感なく聴き通せます。できれば1曲ずつ交互にしてくれるともっとおもしろかったかもしれませんが、バッハとブラームスで使用楽器を替えているのでちょっと無理ですかね。演奏はバッハの方がいいかな。ブラームスはちょっと素っ気ない感じがします。
 ギエルミさんは何度も来日して演奏会や講習会を行っておられます。録音はバッハが2004年、ブラームスが2005年。
 楽器は、バッハの方が1991年ユルゲン=アーレント (Jürgen Ahrend) 製、ブラームスがヴァルッカー (Walcker Orgelbau) 社製。☆☆
910 114-2


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