シェンクの作品あれこれ

(03/01/01)

 お正月特別企画として、今年はシェンクを取り上げました。ヴィオラ・ダ・ガンバのために素敵な曲をたくさん書いている人です。レコードの時代にクィーケン兄弟がシャコンヌを1曲録音しており(「ライン川の妖精」のソナタ11番から)、これがとても好きだったのですが、近年になって録音が増えてきました。

 シェンクは生まれた年も死んだ年もはっきりわかっていません(CDにも生年が1656年頃と書いてあったり1660年頃となっていたりします)が、アムステルダムでドイツ人のワイン商の家に生まれたとのことです。音楽を誰から習ったかも分かっていません。1680年4月13日にアムステルダムで結婚したという証明書が彼に関する最初の記録だそうです。1697年にガンバの腕を買われてデュッセルドルフの宮廷に仕えました。1712年までは間違いなくここで働いていたようですが、その後どうなったのか、死んだ年すら全く分かっていません。

 作品はヴィオラ・ダ・ガンバのためのソナタや組曲、トリオなどの他にヴァイオリンソナタも出版しているようですが、今日演奏されているのはガンバのための作品がほとんどです。作品の質は非常に高いと思います。作品9の2などはバッハのガンバソナタに比肩しうるような出来ではないでしょうか?なちなみにフランスのヴィオール奏者マレがちょうど同じ時代(1656年生まれ!)で、作っている曲の種類も似ているので何だか好対照ですね。片やフランス国王に仕えた大音楽家、一方はドイツの地方都市の宮廷でローカルな活動をしていた音楽家。ちょっと比較にはならないかな。でも、私は正直申し上げてマレよりもシェンクの音楽の方が好きです。今のところまだまだマイナーな存在ですが、さらに多くの録音、特にサヴァールやクィーケンなどの大御所がいい録音を出してくれることを期待したいと思います。
 では、シェンクのCDをご紹介していきましょう。

Schenck
シェンクさん


Johan Schenk : Sonatas, Fantasia & Suite
 (ソナタ・ファンタジア・組曲)
ASTREE E8566 演奏者
Capriccio Stravagante
Jay Bernfeld, Nima Ben David (basse de viole)
Mike Fentross (théorbe)
Skip Sempé (clavicin & orgue)
CD : ASTREÉ E8566 (フランス)
収録作品 Johan Schenk
  1. Ouverture en sol majeur (Scherzi Musicali Op.6 1701)
  2. Sonata 3 en ré majeur (Le Nymphe di Rheno Op.8 1704)
  3. Sonata 2 en la mineur (L'écho du Danube Op.9 1706)
  4. Sonata 4 ev la najeur (Le Nymphe di Rheno Op.8)
  5. Fantazia en fa majeur (Scherzi Musicali Op.6)
  6. Sonata 1 en sol mineur (Le Nymphe di Rheno Op.8)
  7. Suite en sol mineur (Scherzi Musicali Op.6)
Augst Künel (1645-1700)
  Herr Jesu Christ, du höchtes Gut
 ブクステフーデの室内楽ですばらしい録音を残しているカプリッチョ=ストラヴァガンテですが、これもまた名演です。
まともにやると暗くなりがちなドイツバロックの室内楽を高い集中力で爽快に演奏しています。
3つの曲集から選んでいますが、どれも室の高い作品だと思います。
それに何と言ってもベルンフェルトさんのガンバがカッコイイんですよね。


Johannes Schenck : Viola da Ggamba Pieces with and without Accompaniment
 (伴奏付きと伴奏無しのヴィオラ・ダ・ガンバ小品)
cpo 999682-2 演奏者 Lorenz Duftschmid, Sophie Watliion (Viola da Gamba)
Rolf Lislevand (théorbe & Guitar)
Wolfgang Zerer (Cembalo & Organ positive)
CD : CPO cpo 999682-2 (ドイツ)
収録作品
  1. Suite in G minor (Le Nymphe di Rheno Op.8)
  2. Solo in A minor (Autograph, Albertina Vienna c.1705)
  3. Chaconne in G major (Scherzi Musicali Op.6)
  4. Partita in D minor (Autograph, Albertina Vienna c.1705)
  5. Sonata 1 en sol major (L'écho du Danube Op.9)
名手、ダフトシュミットの力のこもった演奏です。
出版された作品だけでなく、手稿譜で残されたものまで発掘して演奏しているところを見ると並々ならぬ力の入れようですね。
特にト長調のシャコンヌがすばらしいです。


Johann Schenck : Fünf Sonaten aus "Konst Oeffening" Op.2 fü Viola da Ggamba und Basso continuo (1688)
 (「芸術の贈り物」作品2からヴィオラ・ダ・ガンバと通奏低音のための5つのソナタ)
CAVALLI CCD228 演奏者 Monika Schwamberger, Barbara Messmer (Viola da Gamba)
Sepp Hornsteiner (Chitarrone)
Gottfried Bach (Cembalo und Orgel)
Karlheinz Schickhaus (Hackbrett)
CD : CAVALLI CCD228 (ドイツ)
収録作品
  1. Sonata 11 C-dor
  2. Sonata 4 a-moll
  3. Sonata 1 d-moll
  4. Sonata 12 g-moll
  5. Sonata 15 F-dor
作品2というものの、これも聴き応えのある作品が揃っています。中でも4番と1番が素敵です。
15番のソナタのシャコンヌのテーマをはじめ、通奏低音の所々にハックブレットを使っているのは意表をついて楽しいです。


Johann Schenck : Scherzi Musicali Op.6 (1701)
 (「スケルツィ・ムジカーリ」作品6から)
DYNAMIC CDS226 演奏者 Bettina Hoffmann (Viola da Gamba)
Modo Antiquo
Alfonso Fedi (Cembalo and Orgel)
Luca Franco Ferrari (Viola da Gamba)
Paolo Fanciullacci (Violone)
Gian Luca Lastraioli (theorbo and baroque guitar)
CD : DYNAMIC CDS226 (イタリア)
収録作品
  1. Suite in D minor
  2. Suite in G Major
  3. Suite in A minor
いずれも1曲あたり20分前後の演奏時間を要する大きな曲です。
ニ短調のソナタはフランス風序曲で始まりキリッとしたフーガで締めくくられます。
このCDのト長調の組曲に含まれているシャコンヌは、ダフトシュミットのCDに入っている曲です。
イ短調の組曲も最後はパッサカリアが置かれています。彼は変奏曲を得意としていたようです。
録音もすばらしい。


Johannes Schenck : Le Nymphe di Rheno Op.8 (1704) Vol.1/Vol.2
 (「ライン川の妖精」作品8)
NAXOS 8.554414
NAXOS 8.554415
演奏者 Les Voix Humaines
  Susie Napper, Margaret Little (Viola da Gamba)
CD : NAXOS 8.554414/8.554415 (香港)
収録作品 Vol.1
  1. Sonata No.1 in B minor
  2. Sonata No.2 in A minor
  3. Sonata No.3 in D major
  4. Sonata No.4 in A major
  5. Sonata No.5 in F major
  6. Sonata No.6 in G minor

Vol.2
  1. Sonata No.7 in B minor
  2. Sonata No.8 in C minor
  3. Sonata No.9 in E minor
  4. Sonata No.10 in G major
  5. Sonata No.11 in G major
  6. Sonata No.12 in D minor
全12曲とも2本のガンバのみで演奏しています。
作品の質の高さに加え演奏技術も高く、さらに録音もいいので2枚を聴き通しても飽きません。
まさかナクソスからこんなすばらしいCDが出るとは驚きです。


Johann Schenck : L'Echo du Danube Op.9 (1706)
 (「ダニューブ川のこだま」作品9から)
MD+G L3398 演奏者
Berliner Conzert
Hartwig Groth, Egbert Schimmelpfennig (Viola da Gamba)
Christoph Lehmann (Cembalo und Orgel)
CD : MD+G L3398 (ドイツ)
収録作品
  1. Sonata 2 in a-moll
  2. Sonata 3 in fis-moll
  3. Sonata 5 in e-moll
  4. Sonata 1 in D-dor
6曲のソナタのうち4曲が演奏されています。
この曲集も名曲揃いですが、特に2番のソナタが白眉。
5番とここに収録されていない6番は無伴奏ソナタです。(6番はW.クィーケンが録音しています。)


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