イベリアの「死者のためのミサ」

(01/12/31)


 前回の紹介から3ヶ月以上も過ぎてしまいました。反省反省。ということで年末拡大版です。
 今回はルネサンスのスペイン・ポルトガルの作曲家による「死者のためのミサ」を旧譜から集めてみました。
 スペインの作曲家による「死者のためのミサ」といえばまずはヴィクトリアによる6声の作品が思い浮かびます。が、これは名曲中の名曲。名盤があちこちで紹介されていますので、ここでは敬して遠ざけ、その他の作曲家の作品を取り上げました。いずれも静謐で敬虔な祈りに満ちた音楽だと思います。ただ、これらの作品の背景や作曲者のプロフィールは詳しく調べていませんので、いい加減なご紹介です。すいません。


Morales : Requiem (モラーレス:レクイエム)

enchiriadis EN2002
収録作品
   Christobal de Morales(c1500-1555)
   1. Missa pro defunctis (a5)
   2. Lamentabatur Jacob (a5)
   3.Inclia Domine aurem tuam (a5)
   4.Miserere mei deus (a5)

  演奏者:Musica Ficta/Raul Mallavibarrena(Dir.)

  CD : enchiriadis EN2002 (スペイン)

 モラーレスはセヴィーリャの出身で、アヴィラなどの聖堂で歌手を務めた後、ローマ教皇の許で聖歌隊の歌手となりました。同僚にはアルカデルトがいたそうです。ローマで10年間活躍した後、再びスペインへ戻り、トレドの聖堂などで楽長を務めましたが、どうも恵まれぬ後半生を過ごしたようです。世渡りが上手でなかったのかな。
 この「死者のためのミサ」は5声部の作品で、ローマで1544年に出版された2巻の作品集の後の方に収録されているそうです。録音は他にサヴァール(Atree)とマクリーシュ(Arvhev)のCDがあるのですが、これらは大人数で歌っているためか、どうももったりとした感じで好きになれません。結局、5人の歌手とオルガンによる、いちばんすっきりとした演奏のこのCDへ手が出ました。しかしこれとても最上の演奏とは言い難く、時にオルガンが出しゃばりすぎる感じがします。また、作品そのものも、彼の他のミサにくらべて特に秀でているわけではないと思いますね。


Francisco Guerrero(1528-1599) : Requiem (ゲレーロ:レクイエム)

GLOSSA GCD921402
収録作品
  1. Processional:Quand'os moro, mi Dios(Guerrero)
  2. Introit:Requiem aeternam(Guerrero)
  3. Kyrie(Guerrero)
  4. Collect:Deus, qui inter apostolicos(Plainchant)
  5. Epistle(Plainchant)
  6. Gradual:Requiem aeternam(Guerrero)
  7. Tract:Absolve, Domine(Guerrero)
  8. Sequence:Dies irae(Plainchant)
  9. Goapel(Plainchant)
  10. Offertory:Domine Jesu Christe(Guerrero)
  11. Preface(Plainchant)
  12. Sanctus(Guerrero)
  13. Tient sobre Ad Dominum cum tribularer(Antonio de Cabezon)
  14. Pater noster(Plainchant)
  15. Agnus Dei(Guerrero)
  16. Communion:Lucest eis(Guerrero)
  17. Postcommnion(Plainchant)
  18. Processional:In paradisum(Juan Esquivel)   19. Hei mihi Domine(Guerrero)
  20. Prayer:Non intres in judicium(Plainchant)
  21. Respnsory:Libera me, Domine(Guerrero)
  22. Kyrie(Guerrero)
  23. Pater noster(Josquin Desprez)   24. Prayer:Deus, qui inter apostolicos(Plainchant)
  25. Antiphon In Paradisum(Plainchant)

  演奏者:Orchestra of the Renaissance/Richard Cheetham(Dir.)

  CD : GLOSSA GCD021402 (スペイン)

 

Francisco Guerrero : Vespres for all Saints/Missa pro defunctis (ゲレーロ:全聖人のための夜課・死者のためのミサ)

Signum SIGCD017
収録作品
  1. Dixit Dominus
  2. Confitebor tibi, Domine
  3. Beatus vir
  4. Laudate pueri Dominum
  5. Laudate Dominum
  6. Christe recemptor omnium
  7. Magnificat
  8. O Domine Jesu Christe
  10. Requiem

  演奏者:Chapelle du Roi/Alistair Dixon(Dir.)

  CD : Signum : SIGCD017(英国)

 ゲレーロはモラーレスとヴィクトリアの間の世代で、生涯のほとんどをセヴィーリャで過ごしたそうです。彼の死の年に出版されたこのミサはヴィクトリアの作品と対照的に穏やかで端正な作品です。
 新しい録音で2種類出ていますが、いずれも劣らぬ名演と思いましたので両方紹介します。最初のオーケストラ・オヴ・ルネサンス盤はミサの型式で、しかも声に楽器を重ねて演奏しています。おそらく考証を行って当時の響きを再現しようとの試みなのでしょう。残響も多く、雰囲気たっぷりの演奏です。一方シャペル・デュ・ロワの方は声のみの演奏で、実に丁寧で端正な曲作りをしています。どちらかを取れといわれるたら困ってしまいます。


Frei Manuel Cardoso : Requiem (カルドーソ:レクイエム)

Gimell 021
収録作品
  Cardoso(c1566-1650)
   1. Requiem (a6)
   2. Non mortui
   3. Stivit anima mea
   4. Nos autem gloriari
   5. Magnificat Secondi Toni(a 5)

  演奏者:The Tallis Scholars/Peter Philips(Cond.)

  CD : Gimell 021 (英国)

 これはとても強い表現に貫かれた作品です。ヴィクトリアの直系とも言える作品でしょう。今回このコーナーを作るに当たっていろいろ聴いてみて、ヴィクトリアの「死者のためのミサ」はかなり特殊な作品だったのではないかと思いました。おおかたの作品は死者を弔うのにとても静謐で敬虔な表現を選んでいます。それに対してヴィクトリアとこのカルドーソだけは慟哭のような強い表現を取り入れています。そしてそれは後の時代へ通じていくものだと思います。そんな意味でとても注目すべき作品です。
 演奏の方は毎度ながらちょっとちょっと冷たい感じの演奏です。スコラカントゥールム・オックスフォードのCD(NAXOS ローボの8声のレクイエムとカップリング)もありますが、こちらは腰が弱い感じ(笑)ですね。もうひとつくらいいい演奏が出てきてくれないかな。


Duarte Lôbo : Requiem Masses (ローボ:レクイエム)

Gimell 028
収録作品
  1. Duarte Lôbo(1565-1646)
     Requiem (a6)
     Missa Vox clamantis

  演奏者:The Tallis Scholars/Peter Philips(Cond.)

  CD : Gimell 028 (英国)

 ローボはポルトガル出身の作曲家です。この作品はとても穏やかで落ち着いた雰囲気で、どこかパレストリーナを思わせるような作品です。聴いていると平安な気持ちになります。いい曲ですね。
 他の人の作品とくらべてみますと、セクエンツィア(「怒りの日」など)へも部分的に作曲されているのが珍しいです。この時代ではグレゴリオ聖歌で歌われるのが普通だったはずですから。


Masterpieces of Portuguese polyphony (ポルトガルのポリフォニーの傑作)

Hyperion  CDA66218.jpg
収録作品
  1. Duarte Lôbo
     Missa pro defunctis (a8)
     Audivi Vocem de Caelo (Motet a6)
  2. Filipe de Magalhães
     Missa Delectus Meus (a5)

  演奏者:The William Byrd Choir/Gavin Tuener(Dir.)

  CD : Hyperion CDA66218 (英国)

 これはローボのもう一つの「死者のためのミサ」です。上の作品とは対照的に二重合唱のために作られた華麗な作品です。有力な貴族のためにでも作曲されたのでしょうか。これは名曲だと思いますね。イントロイトゥスの "et lix perpetua" なんか、思わず一緒に口づさんでしまいました。おすすめ!


Choral Music from the Portuguese renaissance (ルネサンス期ポルトガルの合唱音楽)

GLOBE GLO5108
収録作品
  1. De profundis (Plainchnat) 深き淵より
  2. Estêvão Lopes Morago(c1575-1630)
     De profundis (a4)
  3. Manuel Cardoso
     Ne recorderis (a4) 私の罪を数えないでください
  4. Filipe de Magalhães
     Missa pro defunctis (a6)
  5. Manuel Cardoso
     Libera me (a4) われを解き放ちたまえ
  6. In paradisum (Plainchnat) 天国にて
  7. Filipe de Magalhães
     Commissa mea (a6)
  8. Estêvão de Brito
     Heu, Domine (a6) おお、主よ
  9. João Lourenço Rebelo
     Lamentationes pro die Mercurii Sancto (a8) 聖木曜日のための哀歌

  演奏者:Studium Chorale/Eric Hermans(Dir.)

  CD : GLOBE GLO5108 (オランダ)

 上のCDにも作品が収録されているマガリャンエスの「死者のためのミサ」は非常に落ち着いた静かな作品です。対位法的に動くところがあまり目立たず、全体にホモフォニックな感じです。その次に収められているカルドーソのリベラ・メは対照的に非常に劇的な作品で、やはりヴィクトリアの影響が感じられます。カルドーソという人も非常に優れた作曲家ですね。
 このCDに収められている作曲家たちはコインブラのエヴォラ聖堂で、メンデス(Manuel Mendes c1547-1605)の教えを受けた方々だそうです。


Pedro de Escobar : Requiem (エスコバル:レクイエム)

Veritas 724354532825
収録作品
  1. Requiem (Escobar)
  2. Adro te, Domine Jesus Christe(Peñalosa)
  3. Absolutio(Peñalosa)
  4. Absolve, Domine
  5. Libera me, Domine(Anchienta)
  6. Inter vestiblum(Peñalosa)

  演奏者:Ensemble Gilles Binchois

  CD : Vergin Classics Veritas 724354532825(英国)

 すいません。まだよく聴いていません。また後日。


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