レゾン(André Raison ca1650-1719)


 レゾンは、パリの聖ジュヌヴィエーヴ教会(Sainte Geneviève)のオルガニストを1666年から1716年の間務め、オルガン曲集を2冊出版しています。J.F.パイヤールはレゾンのことを「思想の深さという点よりは、気持ちのよい音栓選択の点で一層秀でている。」と評しています(文庫クセジュ「フランス古典音楽」より)。
 バッハはレゾンの「オルガン曲集第1巻」(1668年パリで出版)を持っていたらしく、この曲集の中の「第2旋法によるミサ」のクリステのテーマをパッサカリアBWV582のテーマに使用したと考えられています。なお、元の4小節のテーマをバッハは8小節に拡大しているとのことです。


レゾンの作品を収めたCDは,以下のものがあります。

 

Xavier Darasse
   (グザヴィエ ダラス)
INA 247232 演奏者 Xavier Darasse (Orgue)
CD INA 247232 (France)
収録内容 ・Nicolas Lebègue(1631-1702): Suite du sixème ton (Livre 1, 1676)
・Guillaume-Gabriel Nivers(1632-1714): Suite du deuxième ton (Livre 3, 1675)
・Matthieu Lanes(ca1630-1725): Suite du Primier ton (Petitte Pièces d'orgue, ca1710-22)
・André Raison: Messe du troisième ton (extraits)
 (Livre d'Orgue contenant cinq messes, 1688)

・J.S.Bach(1685-1750): Toccata et Fuge en rè mineur BWV565

 バッハがテーマを採った「第2旋法のミサ」はおろか、レゾンの作品のまとまった録音は見たことがありません。同じ曲集からの「第3旋法のミサ」を抜粋ながら収めたこのCDは貴重なものです。しかし残念なことに、レゾンの部分だけは1967年の古いモノラル録音で、音質もあまり良いとは言えません。マスターテープが傷んでいるような箇所もあります。ちなみにバッハは1970年、その他は1972年のステレオ録音ですが、これらもあまり良好な音源ではありません。
 さて、ここに収録されたレゾンの作品ですが、一緒に収録されているルベーグやニヴェールの作品にくらべても聴き劣りしないどころか、さらにマルシャンにも通じるような華やかさがあって、とてもすてきな作品です。こういう曲が今日どうして演奏されないのでしょうか?
 フランスバロックのオルガン音楽は確かに地味な分野ではありますけど、クープランやグリニ以外にも良い曲がたくさんあると思うのですけどね。

 演奏者のダラスさんは1934年トゥールーズ生まれで1992年に亡くなったフランスのオルガニストです。メシアンにも師事しています。
 録音のせいかもしれませんが、わりと軽やかな演奏をしていらっしゃいます。


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