フィッシャー(Johann Kaspar Ferdinand Fischer 1656-1746)


 フィッシャーの生地は不明ですが、1670年頃の生まれと考えられています。遅くとも1695年以降にバーデン辺境伯ルートヴィヒ=ヴィルヘルムの宮廷楽長をつとめました。と、バッハ辞典に書かれています。おおかたのCD解説も同様の記述で、どうやらフィッシャーの生涯はよくわかっていないのだろうと思っていたら、1枚だけ…ジークベルト=ランペのCD(veritas724354530722)…ちょっと違ったことが書いてありましたので、かいつまんでご紹介します。

 「1988年になって、フィッシャーはエガーラント(現在のホルニ=スラフコフ〜チェコのドイツ語を話す地域)のシュラッケンヴェルト近くのショーンフェルトという場所で生まれたことがトミスラフ=ヴォレクによって確認された。フィッシャーは1656年9月7日にこの地で洗礼を受けている。〜中略〜フィッシャーは音楽教育の一部(おそらく声楽、クラヴィアとオルガン、ヴァイオリン)をピアリスト修道院の付属学校で受け、その後シュラッケンヴェルト(現在のオストラフ:カールスバートの北東に位置する)の宮廷楽団員になったようだ。その上、彼はクリストフ=ベルンハルト(1628-1692:シュッツの弟子で、ザクセン選帝候の教会楽長)の許で作曲を学ぶため、100キロほど離れたドレスデンを時折訪れていた思われる。(ルドルフ=ヴァルター(1990)による)
 1665年頃、シュラッケンヴェルトの宮廷オーケストラ(後にバーデンへ移る)は17人のメンバーで発足した。楽団員はボヘミア、ニュルンベルク、ハンブルク、ブランデンブルク、ウィーンやシレジア、遠くはイタリアから雇い入れられた。(一例としてヴァイオリンの名手、フランチェスコ=ヴェントゥリーニ[c.1675-1745])1680年代に、フィッシャーはすでに宮廷楽団のメンバーになっていた。そのうえに、彼はザクセン=ラウエンブルクで宮廷楽長を1686年から1689年9月30日(皇帝ユリウス=フランツが死んだ日)までの間務めた。
 皇帝の長女、ザクセン−ラウエンブルクのフランシスカ=シビラ=アグスム(1675-1707)はバーデンのルートヴィヒ=ウィルヘルム辺境伯と1690年に結婚した。彼は1689年にシュラッケンヴェルトの統治権を相続していた。この結婚によって、フィッシャーは新しいバーデンの統治者の楽長となった。
 ルイ14世のフランス軍によるドイツ南西部侵略によって、多くの財産や家屋(ハイデルベルク・エムリンゲン・ドゥルラッハ・プフォルツハイムを含む)が1689年に破壊された。バーデンにおけるルートウィヒ=ヴィルヘルムの統治者としての地位は失われ、バーデンの宮廷とその主は彼の結婚の年の1690年から主にシュラッケンヴェルトに移った。
 フランス軍が退却した後、ルートヴィヒ=ヴィルヘルムは宮廷をバーデンのラシュタットに移し、ヴェルサイユを模した非常に立派な宮殿(今も現存する)を建設しはじめ、彼の死後の1707年にようやく完成した。夫の死後、辺境伯未亡人はラシュタットに落ち着き、約20年の統治の間にバーデン宮廷を拡張し、フランス式の宮廷を築き繁栄させた。フィッシャーはそれでもなおシュラッケンヴェルトの宮廷に留まった。
 フィッシャーは1692年から1704年の間に、二度の結婚で6人の子供を設けた。  1715年、彼が59歳の年にバーデン宮廷の主席楽長としてラシュタットへ招かれた。1712年に統治者が代替わりしても引き続き楽長を勤め、1746年8月27日にラシュタットで没するまでその地位を保持した。」
 訳が下手くそで申し訳ありませんが、そういうご生涯だったそうです。

 バッハはフィッシャーの「アリアドネ・ムジカ」を知っていたようで、ここから平均率クラヴィーア曲集へ主題を使用しています。また、フィッシャーの組曲のひとつ(Op.2-8)が「アンドレーアス・バッハ楽譜帳」に含まれていることから、組曲のお手本としていたかもしれません。

 私事ですが、知り合いのチェンバロ奏者、八百板正巳氏が演奏会でたびたびフィッシャーを取り上げておられます。地味ながら、どれも非常に魅力ある作品で、特にパルティータ「ウラニア」などは氏の演奏で魅力発見した次第です。
 先に紹介したランペ氏もCD解説の中で「彼はパッヘルベルのカノンのような有名な作品の作者になる幸運は持ち合わせなかった故に、今日に復活させられるのをいまだに待っている…」というようなことを書いておられますが、おっしゃるとおりです。


フィッシャーの作品を収めたCDは,以下のものを持っています。

 

「アリアドネムジカ」は20の前奏曲とフーガのほかに5つのリチェルカーレが含まれています。このCDは、それらを全て収録しています。使用楽器はグレスベルク(Gresberg)のシュニットガーオルガン。
J. CASPAR FERDINAND FISCHER ・ ARIADNE MUSICA
   (アリアドネ ムジカ)
CHRISTOPHORUS CHE0002-2 演奏者 Wolfgang Baumgraiz (Orgel)
CD CHRISTOPHORUS CHE 0002-2(ドイツ)
収録内容
Praeludium und Fuge
Nr.1 C-Dur/Nr.2 cis-moll/Nr.3 d-moll/Nr.4 D-Dur/Nr.5 Es-Dur
/Nr.6 e-phrygisch/Nr.7 e-moll/Nr.8 E-Dur/Nr.9 f-moll/Nr.10 F-Dur
/Nr.11 fis-moll/Nr.12 g-moll/Nr.13 G-Dur/Nr.14 As-Dur/Nr.15 a-moll
/Nr.16 A-Dur/Nr.17 B-Dur/Nr.18 h-moll/Nr.19 H-Dur/Nr.20 c-moll
Ricercar
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Nr.1 Ave Maria klare(めでたしマリア)
Nr.2 Der Tag der ist so freudenreich(かくも喜びに満てるこの日)
Nr.3 Da Jesus an dem Kreuze stund(イエス十字架につけられたまいし時)
Nr.4 Christ ist erstanden(キリストは甦りたまえり)
Nr.5 Komm Heiliger Geist mit Deiner Gnad(来たれ聖霊)


GERMAN ORGAN MUSIC Vol.1
   (ドイツのオルガン音楽 Vol.1)
NAXOS 8550964 演奏者 Joseph Payne (Organ)
CD NAXOS 8550964(香港)
収録内容
Dietrich Buxtehude (1637 - 1707)
Prelude and Fugue in D major BuxWV139
Vater unsser im Himmelrech
Heinrich Scheidemann (? - ?)
Vater unsser im Himmelrech
Georg Böhm (1698-1733)
Vater unsser im Himmelrech
Johann Kaspar Ferdinand Fischer
Ariadone musica (20 Preludes and Fugues)
Johann Georg Albrechitsberger
Prelude and Fugue in D major
Georg Muffat
Toccata duodezima
Carl Czerny
Prelude and Fugue in A minor Op.603 No.3
Johann Nepomuk Hummel
Prelude in A Flat major Op.posth.7


Fischer : The Daughters of Zeus Musicalischer Parnassus
   (ゼウスの娘たち 音楽のパルナッスス)
MDG 60509772-2 演奏者 Mitzi Meyerson (Cembalo)
CD MGD MDG60509772-2(ドイツ)
収録内容 Euterpe
Melpomène
Polymnia
Clio
Erato
Calliope
Terpsicore
Thalia
Uranie


Johann Caspar Ferdinando Fischer : Musical Parnassus Vol.1
   (音楽のパルナッスス Vol.1)
NAXOS 8554218 演奏者 Luc Beauséjour (Cembalo)
CD NAXOS 8554218(香港)
収録内容 Clio (Suite No.1)
Calliope (Suite No.2)
Melpomène (Suite No.3)
Thalia (Suite No.4)
Erato (Suite No.5)
Euterpe (Suite No.6)


Johann Caspar Ferdinando Fischer : Musical Parnassus Vol.2
   (音楽のパルナッスス Vol.2)
NAXOS 8554446 演奏者 Luc Beauséjour (Cembalo)
CD NAXOS 8554446(香港)
収録内容 Terpsicore (Suite No.7)
Polymnia (Suite No.8)
Uranie (Suite No.9)

Musicalishes Biumen-Büschlein, Op.2(音楽の花束 作品2)
Suite No.2 F major
Suite No.3 G major


音楽の花束(Musicalisches Blumen-Büschlein)のパルティータ5番は前奏曲、アリアと8つの変奏からなる作品で、パッヘルベルの「アポロンの6弦の竪琴」を思わせるようなすてきな作品です。
Johann Caspar Ferdinando Fischer : Partitas
   (フィッシャー:パルティータ集)
veritas 724354530722 演奏者 Siegbrt Rampe (Cembalo)
CD Virgin veritas 724354530722(UK)
収録内容 Partita Nr.4 D-dor(FWV14) [Musicalisches Blumen-Büschlein 1696/c.1698]
Partita Urania d-moll(FWV81) [Musicalischer Parnassus c.1736]
Partita Nr.5 e-moll(FWV13) [Musicalisches Blumen-Büschlein 1696/c.1698]
Partita Calliope G-dor(FWV74) [Musicalischer Parnassus c.1736]
Partita Euterpe F-dor(FWV78) [Musicalischer Parnassus c.1736]


Johann Caspar Ferdinando Fischer : Musical Parnassus 1
   (音楽のパルナッスス Vol.1)
MAT FCD97136 演奏者 Walther Geist (Cembalo)
CD MAT records FCD97137(ドイツ)
収録内容 Clio
Calliope
Melpomene
Thalia
Erato


Johann Caspar Ferdinando Fischer : Musical Parnassus 2
   (音楽のパルナッスス Vol.2)
MAT FCD97137 演奏者 Walther Geist (Cembalo)
CD MAT records FCD97137(ドイツ)
収録内容 Euterpe
Terpsicore
Polymnia
Uranie


renaissance & baroque organs : austria
   (ルネサンスとバロックのオルガン:オーストリア)
SONY SB2K60872 演奏者 Johann Sonnleitner (Organ)
CD SONY SB2K60872(2枚組)
収録内容
Elias Nicolaus Ammerbach
Passamezzo d'Angleterre
Christian Erbach (ca1570-1635)
Introitus and Versus secondi toni
Johann Staden (1581-1634)
Pavana, Galliard, Courant 1-3
Alessandro Poglietti (d.1683)
Capriccio sopla il cucù
Johann Jacob Froberger (1616-1667)
Capriccio 3
Johann Caspar Ferdinand Fischer
Musicailsher Blumenstrauß
(Praeludium octavum/Fuge prima/Fuge secunda/Fuge tertia/Fuge quarta
/Fuge quinta/Fuge sexta/Finale)
Johann Jacob Froberger
Fantasia secunda
Johann Pachelbel (1653-1706)
3 Magnificat-Fuge (Nr.34/Nr.38/Nr.37)
Johann Speth (1664-1719)
Toccata quarta "Musicalisches Blumenfeld"
Toccata sexta "Musicalisches Blumenfeld"
Bernard Pasquini (1637-1710)
Six Arias
Carl Phlipp Emanuel Bach (1714-1788)
Sonata 2 g-moll
Johann Georg Albrechtsberger (1714-1788)
Fuge in g B-A-C-H
Joseph Haydn (1732-1809)
Variations C-dor, Hob XVII:5
Felix Mendelssohn-Bartholdy (1809-1847)
Fuge C-dor
Simon Sechter (1788-1867)
Fuge c-moll
Johannes Brahms (1833-1897)
Herzliebster Jesu Op.122-2
O Welt, ich muß dich lassen Op.122-3
Herzlich tut mich erfreuen Op.122-4
Schmücke dich, o liebe Seele OP.122-5
O Gott du frommer Gott Op.122-7
Es ist ein Ros entsprungen Op.122-8
O Welt, ich muß dich lassen Op.122-11

 


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